藤川大祐 授業づくりと教育研究のページ

藤川大祐のブログです。千葉大学教育学部教授(教育方法学、授業実践開発)。プロフィールは「このブログについて」をご覧ください。

AKB48襲撃事件について

5月25日(日)、岩手県で開催されたAKB48の全国握手会にて、男が刃物でメンバーを襲い、メンバー2名とスタッフ1名が負傷する事件が起こりました。私は乃木坂46のファンであり、その「ライバル」であるAKB48にも強い関心をもってきましたので、ずっと見てきたメンバーたちが傷つけられたことについて、一個人として特に強い憤りを覚えています。そして、川栄李奈さんや入山杏奈さんの命が助かったこと、彼女たちを守ったスタッフの方も助かったことについては、よかったと思います。

いくつか、今考えていることを書いておきます。

まず、この事件が報道されることによって、連鎖的に別の事件が起こる恐れが生じています。実際、昨27日(火)に、金沢市の小学校で、刃物をもった男が暴れる事件がありました。精神状態がよくない人が、弱い者が襲われる事件を知り、自分もやってみようと思うことは十分に考えられることです。同様のことが今後も別の場所で起こるかもしれません。学校など子どもを預かるところでは、教師など関係者がこうした可能性を想定しておく必要があります。殺意ある者の行動を完全に止めることは難しいかもしれませんが、警戒している姿勢を示すことで、一定の抑止効果が期待できます。

この観点からも、今回の岩手の事件で誰も命を落とさなかったことは非常によかったです。仮に死者が出ていた場合、報道はもっとずっと大きなものになり、同様の事件が連鎖する危険性が非常に高くなったはずです。AKBメンバーたちを守って負傷したスタッフは、他の場所で怒っていたかもしれない事件から多くの人を守ったと言えるかもしれません。

もう一つ気になっているのは、岩手の握手会の現場にいたメンバーたちの精神状態です。特に、同じテントにいたりして惨状を目撃していたり、悲鳴を間近で聞いていたりしたメンバーたちが感じた恐怖は非常に恐ろしいものです。負傷した人にばかり注意が行きがちですが、もしかすると負傷した人以上に、まわりにいた人の苦しみが大きい可能性があります。危機的状況にあるという前提で、医師やカウンセラーなどによる最大限のケアが必要です。

この件では、AKB48の運営スタッフも、大変な状況にあると考えられます。負傷者のフォロー、他のメンバーのケア、報道対応、心ないAKB批判への配慮、握手会や公演のスケジュール調整やさらなる安全対策等、日常とは異なる業務が大量に生じています。そして、恐怖感やメンバーを守り切れなかった罪悪感にも襲われていることでしょう。スタッフ自身がかなりきつい状況であることを前提に、さまざまな対応を進めてほしいと思います。

とりあえず、今考えていることについて、書かせていただきました。関係のみなさんすべてに笑顔が戻る日が来ることを願っています。