本日から開催される日本デジタルゲーム学会にて、「学校のいじめ対応のゲームモデル化の検討」という発表を行います。関連の資料は以下の通りです。
この発表の中で、学校のいじめ対応をゲームとしてどのようにモデル化するかを検討しました。いじめが疑われる事態が生じて以降の学校の対応について、法に沿った対応をとる選択肢Aと法に沿わない対応をとる選択肢Bのどちらを選択するかという逐次選択ゲームとしてモデル化しています。当然、選択肢Aをとることが望ましいのですが、そこまでの対応の不足や学校の組織風土によっては、選択肢Bをとれないことがあります。そこで、一定の条件を満たさないと選択肢Aが選択できないようにしたり、組織風土の状態を反映した確率でしか選択肢Aが選択できないようにしました。
いじめを受けた児童生徒の苦痛は、容易には軽減しません。しかし、学校の対応に問題があれば、苦痛は急激に悪化します。このモデルでは、学校が選択肢Aをとると被害児童生徒の苦痛が微減し、学校が選択肢Bをとると被害児童生徒の苦痛が激増することとしました。そして、苦痛が一定以上になると、ゲームが「重大事態モード」に移行することとしています。
また、被害者側から学校への信頼も同様に、選択肢Aが選択されるとわずかに改善され、選択肢Bが選択されると大幅に悪化することとしています。信頼が一定以下になると学校の組織風土が悪化して法に沿った対応が困難になり、選択肢Aを選択することが非常に難しくなります。他方、選択肢Aが連続して選択されると、学校が法に沿った対応をとりやすくなる(組織風土が改善する)ということも組み込んでいます。
こうしたことを、抄録にあるように日本語でひたすら記述し、ChatGPT
(5.0)に、この記述に基づいたWebアプリをプログラミングするよう指示しました。一瞬でほぼ記述通りのプログラム・コードが作られました。Mac環境でプログラムを動かす方法やWeb上で公開する方法も、ChatGPTに教えてもらいました。UIを改善し、そのたびに出るバグをとるのに3時間ほどかかりましたが、ものの半日ほどでWebアプリが一応完成しました。私は本格的なプログラミングの経験がないのですが、ChatGPTと対話することでこうしたアプリができることは驚きでした。
以下のURLで、今回作成した学校のいじめ対応について学ぶ研修用ゲーム教材(デモ版)を公開します。streamlitという無料サービスを使用して公開していますので、私にも皆様にも課金されることはありません。
https://bullyinggamedemo-aww3kg3wp65w4lepzrxnz7.streamlit.app/

最初にアクセスすると、プログラムが眠っているという表示が出るかもしれません。その場合には、遠慮なく起こす(wake up)ボタンを押してください。
このプログラムは研究用の試作品であり、広く研修で使うのであればもっと改善したほうがよいとは考えています。そうした前提ではありますが、改変・再配布は自由です。ただし、クレジットを必ず明記するようにお願いします。
なお、抄録やスライド資料中にも謝辞を書かせていただいている通り、この取り組みは、谷山大三郎さんらと進めている学校のいじめ対応に関する研修用ゲーム教材の開発プロジェクトの中で考えてきたことを踏まえた上で、藤川の責任であらためて学校のいじめ対応のゲームモデル化について最初から検討しなおしたものです。谷山さんをはじめプロジェクトの関係者の方々から多くの示唆を得ており、関係の皆様に感謝いたします。特に、ゲーム開発の専門家である広瀬眞之介さんと石神康秀さんからは多くのことを学ばせていただきました。お二人の専門性の高さに敬意を表するとともに、あらためて感謝いたします。



