藤川大祐 授業づくりと教育研究のページ

藤川大祐のブログです。千葉大学教育学部教授(教育方法学、授業実践開発)。プロフィールは「このブログについて」をご覧ください。

教育全般

教員の働き方改革を確実に進めるために何が必要か?

教員の働き方をめぐる議論がいろいろと聞こえてきます。私は3月まで附属中学校の立場で、中学校の教職員とともに働き方改革に取り組んできました。そうした経験も踏まえ、働き方改革を確実に進めるには何が必要か、考えを書かせていただきます。 まず多くの…

ChatGPTに教育行政は追いつけるのか?

ChatGPTなどの生成AIの性能が高く、ものすごい勢いで広がっています。 ChatGPTを使えば小学生の読書感想文などはもちろん、大学の授業のレポートなども容易に書けてしまうので、これまでの教育のやり方はそのまま通用しなくなります。文部科学省はChatGPT等…

「ゴロ野球」の実践に学ぶ、参加としての特別支援

私の研究室の名称は、「授業実践開発研究室」。私は大学院生時代から「授業づくり」を主なテーマに研究をしており、2001年度、千葉大学大学院教育学研究科修士課程に授業づくりをテーマとした「カリキュラム開発専攻」が設置されたタイミングで千葉大学に採…

私たちはデジタル・シティズンシップ教育をどのように論じるべきなのだろうか?

デジタル・シティズンシップ教育について調べていたら、坂本旬さんが私の文章を引用して議論してくださっていたことを知りました。 note.com 坂本さんのこの記事は2021年4月22日のものなので、1年半も経過していたことになります。気がつくのが遅く、申し訳…

外国から来た児童生徒を「発達障害」としてしまう状況をどう変えるのか

6月18日(土)、私たちの研究室、NPO等が主催する研究会である「千葉授業づくり研究会」が第150回となる節目となる回を開催しましたた。講師に『「発達障害」とされる外国人の子どもたち』の著者である金春喜さんをお招きし、外国から来た児童生徒の教育に関…

「教師不足」の解決には、「特別免許状の積極活用」でなく、正規採用教員を2001年度並みに戻すことが必要だ

ようやく「教師不足」が広く認知されるようになり、末松文科相が国会で、特別免許状の積極活用を進めることを表明し、「あらゆる手段を講じて教師の確保に取り組んでいただきたい」と話しました。 www.kyobun.co.jp 特別免許状を乱発しても、教員免許をとっ…

「民主主義の理想」を私たちはどう考えればよいのか?

昨日、第148回千葉授業づくり研究会にて、朝日新聞論説委員の沢村亙さんのお話を聞き、ウクライナ危機をはじめとする緊迫した国際情勢に子どもたちとともにどのように向き合うか、議論しました。 ace-npo.org 沢村さんは、ニューヨーク、ワシントン、ロンド…

熊本市教育長の遠藤洋路さんの新刊『みんなの「今」を幸せにする学校』を勝手に推薦します

発売されたばかりの遠藤洋路『みんなの「今」を幸せにする学校』(時事通信社)が届いたので、一気に読みました。 遠藤さんは、熊本市教育長。元官僚で、若くして退職されて会社を起こし、そして熊本市教育長に就任された方であることをこの本で初めて知りま…

オタク力と越境学習を結びつけてみる

「オタク力」に関する論文を掲載したばかりですが、本日先ほどまで、「オタク力」研究チームのオンライン・ミーティングがありました。だいたい月に1回、チームでのミーティングを行っています。 今日のミーティングで見舘好隆先生から教えていただいた石山…

「ウクライナ危機 児童生徒と対話する際の8つのポイント」を書きました

先日、教育新聞の連載で、「ウクライナ危機 児童生徒と対話する際の8つのポイント」という文章を書かせていただきました。 www.kyobun.co.jp ウクライナへのロシアによる侵攻について、日本にいて教育で何ができるかというと大変心許ないのですが、児童生徒…

論文「『オタク』概念の意味論的検討」を暫定公開します

このほど冊子ができた千葉大学教育学部研究紀要第70巻に、藤川大祐・渡邉文枝・見舘好隆・小野憲史「『オタク』概念の意味論的検討」が掲載されました。 いずれ千葉大学図書館のリポジトリに掲載されるはずなのですが、まだ掲載されいていないようですので、…

日本教育工学会発表資料「キャリア関連諸能力と『オタク力』との関係」

3月19日(土)〜20日(日)にオンラインで開催されている日本教育工学会 2022年春季全国大会において、渡邉文枝(早稲田大学)、見舘好隆(北九州市立大学)、小野憲史(東京国際工科専門職大学)の皆様との共同研究の一環として、「キャリア関連諸能力と『…

学校・保育所等のコロナ対策をもっと優先できないか

1月以降、コロナ感染者の増加が急激だった一方で、増加が止まって以降の現象は緩やかです。小中学校や幼稚園、保育所などで感染者が頻繁に出ており、インフルエンザのように子どもが媒介となって感染が広がり続けているのではないかと思われます。症状もイン…

ランダム性を取り入れたデザイン論に向けて

愛読させていただいているPLANETSのメールマガジンの今日の号に興味深い記事があったので、忘れないようにここに書いておきます。落合陽一さんによる「マタギドライヴ」の連載の最終回です。 wakusei2nd.com そもそも「マタギドライブ」って何というのはこの…

明治図書『授業力&学級経営力』誌で連載「教育問題24時」スタート

2022年度、明治図書『授業力&学級経営力』誌で、「教育問題24時」という連載をさせていただくことになりました。 www.meijitosho.co.jp このほど、4月号の掲載誌が手元に届きました。第1回となる4月号のテーマは「学校における働き方」。制度面での紹介も含…

東日本大震災から11年経って思うこと

東日本大震災の発生から11年が経ちました。あらためて私なりの視点で当時のことを、当時のブログ記事をたどりながら振り返ってみたいと思います。 震災発生直後に私がしていたことは、首都圏にいながら何ができるかを探ることしかありませんでした。まずは、…

主権者教育は、投票率向上目的であってはならない

このほど、藤川大祐編「多様化時代における主権者教育に関する研究」 (人文公共学府研究プロジェクト報告書第372集)が完成し、インターネットで公開となりました。 ace-npo.org 私たちの研究室では毎年3月に研究室紀要『授業実践開発研究』を発行していま…

教員養成制度をいじるのでなく、新任教員の無理ゲーを変えることを

文部科学省が、教育実習を学校体験活動に転換することの検討を始めたことが報じられています。 www.kyobun.co.jp 文部科学省はこれまでも繰り返し、教員の資質向上を議論しており、教職課程の単位を増やしたり、「コア・かリュキュラム」なるものを定めて教…

教員の残業代の問題は、公立学校でこそ「是正」が必要だ

文部科学省が国立大学の附属学校で教員に対する残業代の未払いの状況について調査し、24法人で未払いがあったこと等が報じられています。 公立学校の教員には給特法の規定があり、4%の「教職調整額」が支払われる代わりに残業代が支給されないことになってい…

アントレプレナーシップ教育のキーワードがなぜ「ゲーム」なのか

2月23日、ちばアントレプレナーシップ教育コンソーシアム Seedlings of Chiba による「ちばアントレプレナーシップ教育シンポジウム2021~VUCA時代を生き抜く子どもにワタシができること~」が開催され、私もパネリストとして登壇させていただきました。 ミ…

「教員不足」の正体は非正規教員への過剰な依存だ

教育新聞で毎月1回の連載コラムを書かせていただくようになってから、何年になるでしょうか。毎回、編集部からお題をいただき、数日中に原稿を書きます。ともかくお題をいただいたら、自分の知識を総動員しつつ、関連しそうなものを短時間で効率よく調べて、…

「オタク力」への注目で、教育のパラダイムを変えられるか

ここ数年、「オタク力」を研究テーマに掲げています。そもそもは、院生との学習会での議論がきっかけで、数学が苦手な中学生に対して、数学の学力をつけさせようとただ努力するのでは難しく、まずは好きなもので力を発揮してもらい、その好きなものに取り組…

保護者対応・職員室の人間関係を教職実践演習で扱う

教員の多忙さや学校文化の理不尽さが指摘されることが多くなり、教員養成学部の学生にとっては教員という仕事についての不安が広がっています。特に不安が強いのが、保護者との対応と職員室での人間関係のようです。 たしかにこれらは大変ではありますが、民…

大学入学共通テスト 今からでも「混合戦略」に舵を

【この記事は、2017年5月29日の教育新聞に執筆したものです。大学入学共通テストのあり方が問題になっていますので、編集部の協力を得てここに転載します。】 ◇厄介な新たなゲームが始まる◆ 本紙電子版5月16日付(紙版5月22日付)は「大学入学共通テストで方…

日本教育工学会第33回@島根大学 発表資料

9月15日(金)から9月18日(月)まで島根大学で開催の日本教育工学会第33回全国大会ですが、一部プログラムが台風接近による悪天候のため中止となりました。 取り急ぎ、中止になった部分を含め、私たちが関係する発表の資料を順次掲載いたします。 P1a-20 小学校…

日本における年齢別生存期待率予測(平成27年現在)

日本では乳幼児の死亡率が近年かなり低くなっている。これ自体とてもよいことなのだが、小さい子どもを亡くす経験をしている人が少なくなっており、小さい子どもを亡くした人のつらさがなかなか理解されにくくなっているという問題がある。 試みに、現代の日…

ヨミウリ・オンライン藤川連載「ゼノンの逆説~教育の今を読む」スタート

読売新聞のサイト「ヨミウリ・オンライン」で、教育に関するコラムを連載させていただくことになりました。 連載タイトルは「ゼノンの逆説~教育の今を読む」。「今、教育をめぐる状況は絶え間なく動いている。私たちは動いているものをとらえ、その動きをよ…

成績がよい子どもは総じてリア充〜全国学力・学習状況調査を読む

全国学力・学習状況調査の報告書が公表されました。言えることは、点数が高い子どもは総じてリア充である、ということです。朝食を毎日食べ、規則正しい生活をし、家の人とコミュニケーションをとり、自尊感情や規範意識をもっているわけです。家庭環境が安…

ちば生涯学習アカデミーで講演しました

本日2014年5月10日(土)、千葉市生涯学習センターの「ちば生涯学習アカデミー」で「社会とつながる教育〜実践事例から〜」をテーマに講演させていただきました。受講生の方々が大変熱心に聴いてくださり、質問も多く出していただきました。こうした方々が、地…

「地域を知る・地域とかかわる」資料

本日の授業「地域を知る・地域とかかわる」の資料は、こちらです。