昨日起きた佐世保市での小6児童殺人事件(私はあえて「死亡事件」と言わずに「殺人事件」と書く)は、痛ましいものだった。亡くなった女児、そしてご家族の方々の気持ちを思うと、いたたまれない。
小学生が学校内で小学生を殺害した事件は初めてだということであるから、特殊な事件なのであろう。だが、本日になって、ネット上のチャットでのやりとりが事件の背景にあるという報道が出ており、今後のことが気になる。
私が最も気になるのは、類似事件が発生することである。小学生であっても、誰かを殺したいという気持ちになることは、決して珍しいことではないはずだ。だが、幸いにしてこれまでは、実際に殺すまでに至ることはなかった。おそらく、ぎりぎりのところで思いとどまっていた子どもは大勢いるであろう。
しかし、今回、実際に殺人事件が起きてしまった。このことが、「殺してやりたい」という思いを抱いている子どもの背中を押してしまわないか。この点が非常に心配である。
小学生がネットを使っていること自体が、今回の事件とどの程度関係があるかはわからない。ネットがあるかないかに関わらず、小学校高学年から中学生の時期というのは、いわゆる「心の闇」と向き合わなければならない時期であろう。同級生を深刻に恨むことだって、驚くべきことではない。
今後ネット社会云々という議論が出るかもしれないが、そのような犯人探しのような議論は生産的ではない。少なくとも当面は、類似事件が起きないよう警戒することが必要だ。小さなひとことが第二、第三の殺人事件を止めるということが、十分にありうる。
当たり前のようだが、家庭や学校で、今回の事件についてきちんと話をしてほしい。そして、大人が、「たとえ人を殺したいと思うことがあっても、絶対に殺してはいけない」というメッセージを、子どもたちに発してほしい。直接の当事者でない者が今できるのは、類似事件の発生を防ぐことであるはずだ。