本日の新聞等で、福岡県芦屋町が「こども、脱ケータイ宣言」を出し、町内の小中学生に原則携帯電話を使わせない方針だということが報じられている。強制力がないとはいえ、地方自治体が携帯電話使用禁止を宣言するのは異例のことだ。
私は、地方自治体がこのような宣言を出すことは適切ではないと考える。理由は以下である。
1.禁止という措置は自由権を制約する最終手段であり、フィルタリングの普及、ルールづくり、教育の推進等の必要な措置をまず進めるべきで、それでも問題が十分に防げないと考えられる場合に検討されるべきものである。芦屋町がこれまで十分な取り組みをしたということは説明されておらず、いきなり禁止を宣言するのは行きすぎである。
2.強制力がない宣言をしても、問題の抑止につながるとは考えにくく、自治体として強く策に出たというポーズを示したにすぎない可能性がある。この宣言をもって実効的な策がむしろ止まってしまう恐れがある。
3.小中学生に持たせなくても、おそらく中学卒業後には9割以上の者が携帯電話を利用する可能性があり、それまで利用経験もなく特段の教育を受けていない初心者ばかりが地域の中に大きくなったら、むしろそこで問題が発生する可能性がある。
4.保護者が共働きの家庭など、子どもとの連絡をとるために携帯電話がないと非常に困る場合がある。そうした状況への配慮が見られない。
携帯電話に関する問題の背後には、子どもがおかれている地域社会の状況や家庭環境がある。携帯電話を禁止するだけで子どもの状況が改善できるわけではない。地方自治体が取り組むべき課題は、別にあるはずである。