藤川大祐 授業づくりと教育研究のページ

藤川大祐のブログです。千葉大学教育学部教授(教育方法学、授業実践開発)。プロフィールは「このブログについて」をご覧ください。

流山市教育委員会の法令違反かつ不適切ないじめ問題対応について

本日2019年10月21日、文部科学省記者クラブにて、流山市教育委員会の法令違反かつ不適切ないじめ問題対応について公表する記者会見を行いました。


文部科学省が発表したように、小中高校のいじめ認知件数は過去最高を更新しており、いじめ防止対策推進法が定める「重大事態」の件数も昨年度602件と増加しています。そして、神戸市、埼玉県川口市等で、教育委員会が重大事態に対して法令違反あるいは不適切な対応をしている例が続出しています。こうした状況を背景にいじめ防止対策推進法の改正の議論がなされていますが、現状ではまだ改正への道筋は定まっておらず、また改正したとしても教委が法令に従わないのであれば実効性は担保できません。

重大事態への対応のあり方の問題は、被害者が死亡した事案では注目されがちですが、被害者が心身にひどい被害を負ったり不登校になったりして現に苦しんでいる事案はあまり大きく報道されることはありません。しかし、死亡事案で注目されているのと同じかそれ以上ひどいレベルでの対応を行っている教委はまだまだあると考えられます。

 千葉県の流山市教委は、いじめ重大事態に関して、以下のように法令違反あるいは不適切な対応をとってきました(主なもののみ示します)。

・いじめ重大事態に該当する事案について、重大事態と認めず、調査を行わなかった。

・いじめ重大事態と認定した事案について、条例に従って附属機関である流山市いじめ対策調査会(以下、「調査会」とします。)に調査を付託することを怠り、4ヶ月以上にわたって対応を放置した。

・被害者側や調査会との約束に反して被害者側との関係を悪化させる行為をとり、調査会による調査の妨害を行った。 

市教委の附属機関である流山市いじめ対策調査会において、こうした市教委の対応について繰り返し指摘をし、改善を求めてきましたが、いまだ改善がなされない状況があります。そうした中で、本年5月の任期満了をもって、すべての委員が退任するという状況に至っています。市教委のこうした対応によって、被害を受けた方やご家族は今でも大変な苦しみの中にあります。

記者会見で公表した資料は以下の通りです。

発表資料

補足資料

被害者保護者からいただいたコメント

 

市教委が法令に反し、調査を妨害するような状況にあることを多くの方に知っていただき、事態の改善と被害者の支援が適切に行われるようご理解ご協力をいただきますよう、お願いいたします。