藤川大祐 授業づくりと教育研究のページ

藤川大祐のブログです。千葉大学教育学部教授(教育方法学、授業実践開発)。プロフィールは「このブログについて」をご覧ください。

流山市教委のコメントに見る「悪くても謝らない」「責任転嫁する」という態度

流山市教委が法令違反かつ不適切ないじめ問題対応を行った問題で、昨日10月31日、流山市教委のサイトにコメントが掲載されました。

 

Nagareyama20191031

 

このコメントの中には「流山市いじめ対策調査会会長の藤川大祐氏によって、文部科学省記者クラブにて行われた、流山市教育委員会のいじめ重大事態の対応についての記者会見に関する報道等により、市民の方々をはじめ多くの皆様に大変な御迷惑と御心配をおかけしていること、心よりお詫び申し上げます。」と書かれています。一応お詫びの言葉になっているのですが、何をお詫びしているかというと、私の記者会見に関する報道等で「御迷惑と御心配」をかけていることをお詫びしている形になっています。

これは大変不思議なお詫びです。なぜなら、私は記者会見で、流山市教委の対応が法令違反かつ不適切な対応があったことを指摘したのに、そうした対応があったのか否かについての言及が全くなされていないからです。法令違反や不適切な対応があったのであれば、まずそのことについて謝罪がなされるべきです。教育行政を司る教委として、法令違反や不適切な対応は許されないことであるはずだからです。そして、仮にそうした対応がなかったと主張するのであれば、どうどうと記者会見の内容に反論すべきです。堂々と反論しないから、市民は心配するのです。

法令違反や不適切な対応について見解を示さずに、藤川の名前を出して謝罪するというのでは、まるで藤川に問題の責任を押しつけているようです。藤川の個人名を出しながら見解を出さず責任転嫁するような姿勢に、市教委の「悪くても謝らない」「責任転嫁する」という不道徳な態度が象徴されています。こうした市教委がいじめや体罰の被害に苦しんでいる児童生徒や保護者にどのように対応するのか、流山市民の皆様はぜひ想像していただきたいと思います。想像していただくと、ますます心配になるのではないでしょうか。

そして、市教委のコメントには「現在は、新たないじめ対策調査会において調査を進めております。/今後、現調査会によって作成される最終報告に対し、教育委員会として真摯に対応してまいります。」と書かれています。私が市民、市議会議員、教育委員等の立場であれば、次のことを尋ねたくなります(尋ねられる立場にある方はぜひ尋ねてください)。

1) 新たな調査会の委員はどのような方々なのですか。専門性や中立性に問題はないのですか。(私が聞いた話では、市教委の元指導課長が委員に入っているそうです。市教委の対応が批判されている中、市教委のいじめ担当責任者を経験された方が委員に入っているとしたら、大問題です。)

2) 新たな調査会の委員については、被害者側の合意を得られているのですか。

3) 新たな調査会は旧調査会から引き継ぎをしていませんが、引き継ぎはしないのですか。(藤川が9月に市教委に記者会見の内容を連絡した際に確認したところでは、「引き継ぎは行う」ということでした。これに対して藤川から、新たな調査会の委員について被害者側から同意が得られていないと引き継ぎが無駄になる可能性があるのだが、同意は得られているのかと尋ねたのですが、これについては返信をいただいていません。もちろん、引き継ぎも行われていません。)

4) 「最終報告に対し」ては真摯に対応されるとのことですが、これまで2回出された中間報告書については真摯に対応しないということですか。そもそもこれまでの中間報告書について市教委としての反省も出されず、被害者支援等の対応もあまりなされていないようですが、これまでの中間報告書に真摯に対応しない理由は何ですか。

5) 中間報告書に対応せず最終報告には対応するという姿勢は、中間報告書が市教委にとって都合が悪いものであり、最終報告は市教委にとって都合のよいものにしようとしているということではないのですか。

これまで2回にわたる中間報告書の作成については、市教委にも確認してもらっており、事実誤認等はないという回答を得て提出しています。にもかかわらず、市教委は中間報告書の内容には真摯に対応せず、最終報告を待つという態度をとりつづけています。こうした市教委の姿勢が、被害者を絶望させ、被害者の苦痛を増大させています。

被害者がもっともつらかったこととして挙げたのは、市教委にウソをつかれていたことでした。真摯に対応すべきだった時期は、もっとずっと以前だったはずです。