藤川大祐 授業づくりと教育研究のページ

藤川大祐のブログです。千葉大学教育学部教授(教育方法学、授業実践開発)。プロフィールは「このブログについて」をご覧ください。

吉田孝さんの批判に対して

 『授業づくりネットワーク』2004年3月号に「評価」の問題を書いたところ、吉田孝さんのホームページ内「吉田からのメッセージ」で批判をいただいた(2/18付)。国立教育政策研究所教育課程研究センター「評価規準の作成、評価方法の工夫改善のための参考資料」についての私の議論が、吉田さんの批判の対象である。

 この吉田さんの文章で、私に対する批判は2点である。しかし、1点めの「この文書は『報告』ではない。参考資料である。」という部分については、吉田さん自身が翌日の文章で撤回している。とすると、残りは次の点だ。引用する。

「このような評価を実際に行うためには、教師は毎時間数十から百以上の項目の評価を記録し、それを単元を通して集計しなければならない。かなり手間をかけて評価を行うことが求められているのがわかる。毎時間個々の子どもについてのデータを集め整理しなければならない。多忙な教師には過剰な負担であり、実行性は乏しい」

ここで、藤川氏は算数の例をあげている。算数については私は直接関わっていない。しかし、考え方はどの教科も同じである。藤川氏のこの文も誤解に基づいている。藤川氏がとりあげている事例でも、実際に1時間の授業でかかげている具体の評価規準は2つに過ぎない。どうして「数十から百以上」になるのか。この具体の評価規準によって「おおむね満足できない」児童、すなわち「C・努力を要する」児童と、「A・十分満足できる」児童について記録しておけばよいのである。あとの児童は「B・おおむね満足できる」のである。

 一応、反論しておく。1時間の授業で掲げられている評価規準は2つか3つである。それを40人学級のすべての子どもについて評価すれば、80項目から120項目の評価項目があることになる。もちろん、CとAだけを書いてあとは書かないというのであれば、実際に書く項目は少ないかもしれない。だが、それは書き方を省力化しているだけで、評価項目が減るのとは違う。

 さらに吉田さんは「藤川氏の文には他にも誤解に基づく箇所がある」と書く。もちろん、私は誤解などしていないつもりである。しかし、吉田さんはこれ以上書いていないので、これでは反論のしようがない。いくらホームページだからといっても、このような書き方は不適切だ。

 細かすぎる評価項目の問題については、もっとしつこく主張していかねばならないと思っている。吉田さんだけでなく、ご関係者の皆様、ご批判があれば受けて立ちます!