藤川大祐 授業づくりと教育研究のページ

藤川大祐のブログです。千葉大学教育学部教授(教育方法学、授業実践開発)。プロフィールは「このブログについて」をご覧ください。

藤川大祐×岩立沙穂・岡田彩花・村山彩希・飯野雅・大川莉央・込山榛香(AKB48)『実践!スマホ修行』発売について

このたび学事出版より、藤川大祐×岩立沙穂岡田彩花村山彩希・飯野雅・大川莉央込山榛香AKB48『実践!スマホ修行』という書籍が発売となります。 Photo 2013年頃から中高生にスマートフォンが急速に普及し、私が「平成25年問題」と呼んでいる「ネットの長時間利用」「ネットいじめの深刻化」「犯罪被害の増加」といった問題が起きています。この状況に対してさまざまな対策が進んでいますが、中高生のネット利用は拡大する一方で、「スマホ利用禁止」「フィルタリングの普及」等の制限策だけでは問題は解決しないように思われます。 私は、この状況に対しては、ネットを積極的に利用している人たちを中心に、当事者である中高生が大人も巻き込んで議論していくことが重要だと考えています。これまでも、シンポジウム等で中高生が登壇者となってくださり、突っ込んだ議論をする機会がありました。こうした議論をもっと進めることが必要です。 数年前から、こうした内容の書籍を、ぜひAKB48のメンバーとともに作りたいと考えていました。というのは、AKB48のメンバーたちは日頃から公私両方においてSNS等のネットサービスを積極的に利用していて、ネット上の発信で誤解を受けそうになったり、ネット上に発信した自分の発言や写真がファンなどに使われるのを見ていたり、メンバーどうしでネットでコミュニケーションをとっていたりと、日頃からネットを活用し、そのことを劇場公演のMC(トーク)で語ったりしています。メンバーたちの発信は基本的に事前にマネージャー等がチェックすることはなく、自分たちで日々考えながら発信しているので、ネットでの経験値は非常に高いと言えます。 スマホ時代の友人関係や恋愛関係についても、AKB48のメンバーに語ってもらいたいと考えていました。彼女たちは「恋愛禁止」の中で活動していますが、同世代の人間関係について語る言葉を豊富にもっています。ですから、「恋人同士でずっとネットでのやりとりをして時間を使うことについてどう思いますか?」とか「寂しくて援助交際に走ろうとしている女子高校生がいたら何と言ってあげますか?」といった質問に対して、親身になって自分の言葉で語ってくれるだろうと考えました。また、彼女たちはエンタテインメントビジネスの中にいるわけですから、ネット時代の著作権や肖像権についても自分の言葉で語ってもらえると考えました。 本書は全8章から成っています。前半ではAKB48の13期生である岩立沙穂さん岡田彩花さん村山彩希さん、後半では15期生である飯野雅さん大川莉央さん込山榛香さんに登場いただき、それぞれ3人のメンバーと藤川での座談会形式で4つのテーマについて議論をしてもらいました。この6人はすべて青少年のスマホ利用について語る言葉を豊富にもっていると考えられ、また少し年齢差のある同期メンバーで語り合ってもらうことで、経験や意見の違いを活かしてリラックスした議論をしてもらえると考えました。 このようにしてできあがったのが、以下の8章です。 (前半)岩立沙穂さん、岡田彩花さん、村山彩希さんが登場  第1章 Stop!炎上路線〜ネット発信のトラブルを防ぐ〜  第2章 いじめ脱出ゲーム〜人間関係で悩まないために〜  第3章 毒リンゴを食べないで〜出会い系犯罪の恐怖〜  第4章 君と僕の危険な関係スマホ時代の恋愛事情〜 (後半)飯野雅さん、大川莉央さん、込山榛香さんが登場  第5章 君のスマホのプライバシー〜情報社会のセキュリティ〜  第6章 ネット依存の傾向と対策〜青春を無駄にするな〜  第7章 課金で損しちゃった!?〜お金で騙されないために〜  第8章 著作権や肖像権のキャパシティ〜エンタメ産業の未来のために〜 AKB48に詳しい方ならお気づきかもしれませんが、各章のタイトルはAKB48の楽曲(多くは登場メンバーに関係の深い楽曲)のパロディとなっています。各章の扉ページでは、それらの楽曲と章の内容に関わる短い文章も載せさせていただいています。(さらに、本のタイトルも「おわりに」も楽曲タイトルのパロディとなっています。) この本は、「授業づくりエンタテインメント!」シリーズ第2弾として作られました。第1弾である『授業づくりエンタテインメント!』は、ゲーム、アイドル、お笑い等のエンタテインメントを手がかりに授業づくりの研究を楽しく読めるものとしてまとめたものです。『授業づくりエンタテインメント!』では、今回もご登場いただいた村山彩希さんが表紙とミニ対談で登場してくださり、評論家の宇野常寛さんも対談で登場してくださいました。エンタテインメントの力を教育に活かすことは、私のライフワークと思っています。今後も、「授業づくりエンタテインメント!」シリーズとして、エンタテインメントを取り入れた授業づくり関連企画を進めていきたいと思っています。 『実践!スマホ修行』は、各章ごとに藤川による講義、AKBメンバーとの討論、藤川による振り返りの3パートで構成されています。講義部分には課題も出してありますので、たとえば教室でこの課題について議論をし、AKBメンバーとの討論部分で話し合いを深めていただくという使い方が可能です。情報モラル教育のテキストとして、活用していただくことを願っています。