参院選が終わったが、これに関連して2件の取材を受けた。毎日新聞7月9日朝刊(千葉版)と、7月12日NHK『首都圏ネットワーク』である。
新聞やテレビではどうしても言えることが限られてしまうが、私が現時点で提言したいことは以下の通りだ。メモとして書いておきたい。
1)少子化対策
ここ10年ほどは出生数はほぼ横ばいだが、親の世代の数が少なくなるために今後は出生率が一定でも出生数が激減していく。合計特殊出生率ばかりが話題になるが、率よりも数が大きな問題となるはずだ。「子どもをつくって育てたくなる社会」の実現のための政策が最優先されるべきだ。
・保育園、学童保育等、子どもを預かる場の充実
・子育て世帯を大胆に優遇するような税制措置
・子育てNPO、ボランティア等への活動助成
2)時代に合った学力向上策
学力低下問題で「ゆとり教育」路線が揺れており、日本の教育についての展望が見えない。特に、家庭の経済状況による教育格差が広がり、悲惨な状況にある子どもが多い。他方、日の丸問題や教育基本法「改正」等、イデオロギー的な議論ばかりが政治的課題になっている。このままでは日本は、受験勉強を勝ち抜くことしか視野にないまま大人になる偏ったエリートと、学びを放棄してフリーターや無職のまま年齢ばかりを重ねていく能力の低い大衆ばかりになってしまう。新しい時代に合った学力向上策が検討される必要がある。
・言語技術(ディベートを含む)及びメディアリテラシーの習得を学習指導要領に盛り込む
・企業やアーティスト等の学校教育への貢献を奨励し、大学やNPOと協力した授業実践プログラムの開発及び授業の実施が広くなされるようにする(このことがキャリア教育にもなる)
・学校における異文化理解教育、英語教育、情報教育、キャリア教育、環境教育等を支援する企業やNPOの起業を奨励する
・国立の教員養成大学・学部の授業を原則として午後及び夜間とし、午前中は小中学校等で学習支援を行えるようにする
3)教員の状況改善策
学校五日制で夏休み等も平日は原則勤務となったことをはじめ、教員の勤務状況が厳しく評価される等、教員が不自由を感じることが多くなっている。他方、公務員全般の給与が抑えられる中で、教員の収入は一般的に下がっている。また、子どもに何か問題があると教員が批判の矢面に立たされることが多い。このような状況では教員がやりがいを感じることが難しく、体調を崩す者や早期に退職する者も多い。教員がやりがいを感じ、ゆとりをもって働けるようにすることが、質の高い教員の確保ひいては教育の質の向上にとって不可欠である。教員の状況を改善することが必要である。
・教員の給与アップと勤務時間の弾力化
・大学院や企業への長期派遣等、研修の充実