藤川大祐 授業づくりと教育研究のページ

藤川大祐のブログです。千葉大学教育学部教授(教育方法学、授業実践開発)。プロフィールは「このブログについて」をご覧ください。

学校・保育所等のコロナ対策をもっと優先できないか

1月以降、コロナ感染者の増加が急激だった一方で、増加が止まって以降の現象は緩やかです。小中学校や幼稚園、保育所などで感染者が頻繁に出ており、インフルエンザのように子どもが媒介となって感染が広がり続けているのではないかと思われます。症状もインフルエンザと同じくらいの人が多いようですが、感染者が出ると同居家族は濃厚接触者として行動を制限されます。リモートワークができる仕事ならまだよいでしょうが、医療関係者や教育・保育関係者など出勤できないと困る人もいます。

 

コロナ禍の状況もかなり変わってきて、今や学校等での子どもを媒介とする感染をどれだけ止められるかの優先順位が高くなってきているのではないでしょうか。しかし、これまでの日本の状況では、学校や保育所等に関する対策があまり優先されてきていないように思われます。具体的には、以下の通りです。

 

  • ワクチン1・2回目について、教員等の優先接種があまり徹底されておらず、昨年夏休みまでに教員等の2回目までの接種があまり終わらなかった。
  • 12歳から18歳までのワクチン1・2回目接種がなかなか進まなかった。
  • 学校等でのエアロゾル感染防止が徹底されず、CO2モニター配布等の有効と思われる策があまり講じられていない。
  • 12歳未満のワクチン接種がなかなか始まらなかった。
  • 教員等のワクチン3回目接種を迅速に進める様子がない。
  • 感染者の同居家族は自動的に濃厚接触者となってしまい、ワクチン3回接種で無症状でも最低5日間は行動制限を受ける。

 

各論ではさまざまな意見があるかもしれませんが、子どもの感染の影響が多くなっている以上、今後に向けて学校等における対策の優先順位を上げることが必要であるはずです。今後に向けて、以下のことを検討してほしいと思います。

 

  • 教員等及び高校生以下の児童等については、医療・福祉関係者の次くらいのレベルで優先的にワクチン接種が受けられるようにする。
  • CO2モニターの配布等を進め、学校等におけるエアロゾル感染防止を徹底する。
  • 感染者の同居家族であっても、無症状かつワクチン接種から一定期間内のエッセンシャルワーカー(教員等を含む)については、抗原検査陰性を条件に行動制限を免除もしくは1〜2日程度に短縮する。

 

もちろん、学校等で感染者が出た場合には、そのときのウイルスの特性に応じて、1日から数日の機動的な学級閉鎖措置をとる等、現状のままでもできることはしていくことが前提です。

 

学校等で子どもが感染の媒介となるような状況をできるだけ止める必要があります。学校等における対策の優先順位を上げる方向の検討が進められることを願っています。