藤川大祐 授業づくりと教育研究のページ

藤川大祐のブログです。千葉大学教育学部教授(教育方法学、授業実践開発)。プロフィールは「このブログについて」をご覧ください。

流山市議会におけるいじめ問題に関する審議の書き起こし

12月5日、流山市議会でいじめ問題についての審議が行われました。報道機関の方から書き起こしをいただきました。公開してかまわないということなので、以下に掲載させていただきます。

注目していただきたいところには、下線をつけます。下線部については、下でコメントさせていただいていますので、下までぜひお読みください。

①平成20年3月末にいじめ重大事態を位置付けて以降、いじめの対応をめぐり本市の取り組みの不適格さを指摘する
流山市いじめ対策調査会前会長による記者会見が10月21日に文部科学省記者クラブにて実施された
本市におけるいじめ重大事態の取り扱いについて以下を問う

ア)10月21日の大学教授による記者会見と比較し、中間報告書はどのような内容だったのか
また学校の出欠扱いなど、市教委の見解とは異なる報道も報道されているが、どう捉えていますか。
→元年5月31日に提出された中間報告の内容は記者会見と比較し、指摘された内容も含まれる、学校の出欠の取り扱いなど教委と把握している内容も報道されています。
このことについては誠に残念です。

イ)本案について、平成29年3月末のいじめ重大事態の位置づけが正しかったのか。また、平成29年第一定例会の私の一般質問に対し
「現在臨時招集をしてのいじめの対策調査会を立ち上げるほどの事案は発生しておりません」と答弁したが、本案の経過から正確性を欠いた答弁だったのではないか?
→平成29年2月当時、本案件については学校と教委は連携を取り保護者らと面談をしていた、その時は引き続き丁寧に寄り添う事が重要だと判断、調査会を立ち上げる必要はないと判断しました。その後3月になり学校からの情報で3月末に上げた情報で重大案件と認定しました。当時の答弁が正確性を欠いたとは思っておりません。

ウ)本案に対するいじめ対策調査会の中間報告書はどのような位置づけなのか、また本案の中間報告書は2度に渡って市教委に提出され
市長にも提出されていることを令和元年第二回定例会でわざわざ確認したにも関わらず、対策などがなぜ総合教育会議や教育委員会などで議論が深められなかったのか?
中間報告書の取り扱いについては、現在、現調査会において最終報告書の作成に向けて中間報告書を参考にしている段階にあり、現調査会が判断するものと考える。(①)
市長などと情報を共有し教育委員会議では随時報告させ情報共有を心がけています。

市長に)
Q,重大事態の被害者は「いじめ」の被害者と認識していますか?被害者の意識、受け止め方など家族の問題か?
調査会で調査中だったので事実関係の確認をしていた、状況を踏まえて教育会議では「いじめ事案」として認識していた。
→いじめの重大事案として認識していました。


教育長に)
Q10月25日に文科大臣について指摘があったが対応について不適切なものだったと考えるか?
私たちも発言を受けて法に沿って対応すべきだったと考えています
私たちが30日を超えたことについて対応すべきだった、当時は学校での対応の結果、重大事案と考えてなかった。
欠席が30日を超えてなくても重大事案として対応すべきでした。(②)

教育部長に)
Q,6月14日の段階で新調査会は立ち上がっていたのか?
立ち上がっていませんでした。

市長に)
Q11月22日に千葉日報に市長のコメントが載った「最終報告書を観て判断したい、市教委には迅速にと」発言があったがこれは市長の発言か?
わたしの発言です。(③)

教育部長)
Q,被害者児童や保護者に調査の時期、期間、事項、方法などを示したと発言があったが、これは現調査会が行ったものか?
→説明は現在進めていると認識している。要望の有無についてはこの場での答弁は控える。

Q,新調査会について、しっかり調査が出来る体制となっているのか?
→被害者への説明については法令に基づき義務つけられている、員については説明はするが出来るだけご理解いただけるようにしたい。
平行線になったとしても努力義務と認識して努力はしていきたい。(④)

教育部長へ)
Q,最終報告書について、委員の交代や被害者との関係などから出にくい環境だと考えているが?
→出来る限り、義務としては理解は位置付けられいないが分かっていただけるように努力したい。
三者が作っているので時期についてはコメントできないが、速やかに出して頂けるように申し上げています。

教育長へ)
Q、11月2日に前調査会の会長になぜ最終報告書を作る前にやめたのか?と問うたところ、「やむにやまれる思いで記者会見をした」と話したについて
→わたしからはコメントできません、心情まで把握できてませんので。前会長が最終報告までまとめると言っていたことについては初めて聞いた話、慰留はしたが了承を得られなかった。(⑤)

Q,議会へ資料請求をした際、調査委員の氏名や役職など第二次中間報告書では黒塗りになっている、公費を払っても黒塗り、これは教委に得するような黒塗りではないか?
私どもも書類の専門家ではないので法務部で慎重に考えた結果の黒塗りです。(⑥)

教育部長へ)
Q,法令に基づけば保護者に説明し納得してから初めて調査が始まると考えているが、そういうことではないのか?
→委員については委嘱は了解を得てからではなく、説明をして疑義があれば理解してもらう努力をしながら進めていけると考えています。
委嘱状を渡して新たな委員を選出しているわけですが、特に文書をもって引き継ぎをする法律はない、現状としては内容を書いた文書での委嘱は行っていません。

市長へ)
Q、調査会前会長に市長みずから意見を聞く事は考えていないのか?すべきではないのか?
私自身も理解しないと、お会いして適切なやりとりをするために事実を把握しなければいけないし、直接面会する権限というものが無いのです。
まず事実確認をして、お会いする事を考えます。(⑦)

Q、前いじめ対策調査会がまとめた報告書をしっかり引き継ぐことが大事だと考えているがどう考えているか?
→新調査会と協議をして判断していきたい。

Q,第二次中間報告書について、教育福祉委員会で議論して答弁できるように勉強していただきたい。事実として重大事態にも関わらず当初教委、学校がそうしないように扱ったかもしれないので次回答弁出来る様にしっかりおさらいしていただきたい。

以下、下線部についてコメントです。

① 中間報告書の扱いについて、新しい調査会の判断に委ねるとされています。私たちは市教委から依頼されて調査をし、その成果を中間報告書に記して教育長に提出したのですが、正式に提出されたものについて当面何もしないと宣言されています。不当です。

② 教育長は、重大事態認定しなかったことが誤りだと公式に認めていることになります。となると、なぜこのようなことが起こったのかを確認し、誰に責任があるかを明確にし、このことによって生じた被害についてどのように償うのかについて、明確に説明をされるべきではないでしょうか。

③ 市長も、最終報告書が出るまで対応しない立場をとるということを明言されたことになります。遺憾です。

④ 現在の調査会の人選について、被害者側から重大な疑義が出されていると認識しています。努力するというようなレベルの問題ではないはずです。いずれ何が問題かが明らかになるでしょう。

⑤ 私は本年5月27日開催の流山市いじめ対策調査会の席上で、調査中の案件の調査が終了するまでは調査委員会の長として責任をもってまとめたいとお話ししました。正式な会議で申し上げたことが教育長に伝わっていないということなのでしょうか。そして、慰留をしてくださったとのことですが、私は4月時点でこのまま調査会委員を続けることはできないと連絡してあったにもかかわらず、教委側から慰留に該当する発言があったのは5月27日の会議の場において、担当指導主事から一言あっただけです。5月27日というのは、任期が切れるわずか4日前です。しかも、その場におられた指導課長他、指導主事よりも上の立場の方々からは特に慰留の言葉はなく、まして教育長からは何のメッセージもいただいていません。流山市教委にとって「慰留」とは、このように軽いものなのだということですね。

⑥ 墨塗りについては、いろいろと疑義が出ています。教委だけでなく法務部にも問題ありということなのでしょうか。

⑦ 市長には記者会見前にSNSを通じて連絡をさせていただきましたが、何の返信もいただけませんでした。市長からは、その後も全く連絡をいただいておりません。私としても、ぜひお会いしてお話しさせていただき、最終報告書を待たずに必要な対応をとっていただくようお願いしたいと思っています。