藤川大祐 授業づくりと教育研究のページ

藤川大祐のブログです。千葉大学教育学部教授(教育方法学、授業実践開発)。プロフィールは「このブログについて」をご覧ください。

藤川大祐『「いじめに対応できる学校」づくり 法令だけではわからない子どもを守る実務ノウハウ』(ぎょうせい)、6月20日発売

来る6月20日、私の新しい著書『「いじめに対応できる学校」づくり 法令だけではわからない子どもを守る実務ノウハウ』(ぎょうせい)が発売となります。3月に出した『教師が知らない「子どものスマホ・SNS」新常識』(教育開発研究所)に続き、今年2冊目の単著の発売です。2冊とも、出版社からお話をいただき、1〜2ヶ月の執筆期間を確保して書き上げました。スマホの問題もいじめの問題も、書きたいこと、書かなければならないことが多くあったので、私なりに力を入れて書かせていただきました。

今回の『「いじめに対応できる学校」づくり』は、学校のいじめ対応の実務のノウハウを徹底的に扱った本です。このブログでもずっと書いてきたように、私は千葉県流山市茨城県取手市等で、教育委員会の附属機関の委員長等を務め、重大事態への対応等を経験してきました。そうした中で、学校はもとより教育委員会もが、法令やガイドラインを無視していじめ問題を扱っている状況を目の当たりにし、私なりになんとか状況を改善したいと尽力してきました。取手市教育委員会では成果が見られる一方で、流山市教育委員会の対応は本当にひどく、文部科学省で記者会見を行って問題提起をすることが必要となるほどでした。

報道を見れば、川口市教育委員会をはじめ、法令やガイドラインに従わない例が数多く見られます。これが法治国家なのかと、目を疑うことばかりです。こうした状況が被害者やご家族に、深刻な二次被害を与えています。なんとかしなければなりません。

他方、法令やガイドラインは込み入っており、実際の学校現場でのいじめ対応にあてはめたときにどうなるのかは、必ずしも明確ではありません。私自身、附属中学校長としていじめ等の問題への対応にずっと当たっていますが、法令やガイドラインについてよく確認することに加え、そうしたところに明記されていない組織のあり方、スピード感等について、必要なところをしっかりと補っていくことが必要だと痛感しています。

私は、教育研究者、学校長、第三者委員会委員長を同時期に並行して務めるという稀有な経験をさせていただいています。この立場だからこそ、学校がいじめに対応するための実務ノウハウをしっかり書かなければと考えました。

本書は、第一義的には、学校でいじめ対応にあたる校長などの管理職の方々や生徒指導主事等に向けて書いています。せめて、この本にある内容は、学校におけるいじめ対応の最低限の前提としてほしいと願っています。そして、教育委員会の方々、学校の多くの教職員、保護者、議員、弁護士、報道関係の方々、さらには当事者の児童生徒の方々等、多くの方にお読みいただき、この社会のいじめ問題への対応の水準を高めることにつなげられるようになれば幸いです。

日本中の学校を、「いじめに対応できる学校」にしていきましょう。

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