藤川大祐 授業づくりと教育研究のページ

藤川大祐のブログです。千葉大学教育学部教授(教育方法学、授業実践開発)。プロフィールは「このブログについて」をご覧ください。

大学・学校・企業連携による「メディアリテラシー教育演習」で次代を担う教員を育てる

私が千葉大学教育学部で担当している授業「メディアリテラシー教育演習」では、毎年度、グリー株式会社の協力を得て、学生たちがICT技術を活用した新しい授業プログラムを開発し、千葉大学教育学部附属小学校の協力を得て、附属小の学級で実際に授業をするところまで実施する取り組みをしています。

 

昨年度までの3年間ははVTuver技術を活かした授業づくりを行って来ましたが、今年度は学生たちがアプリを作り、そのアプリを使った授業を附属小で実施することにしました。私が役職に就いている関係で非常勤講師枠をいただいているので、飯島淳さんと小川起生さんに非常勤講師をお願いし、お二人やグリーの方々とともに授業を進めてきました。

 

このほど、この授業の様子がグリーのサイトで記事として公開されましたので、ぜひご覧ください。

 

corp.gree.net

 

今回は、いじめあるいはネット上の誹謗中傷をテーマにするよう学生に指示していました。学生たちはAチームとBチームの2チームに分かれて、アプリを使った各2時間の授業を企画し、分担してアプリづくりや授業づくりを行いました。

 

このような授業づくりを行う際、ともすると指導者側が教えたいことをただ伝える授業を企画しがちになります。大学の授業で検討を重ねる中で、学生たちがよく工夫をしてくれて、子どもたちがアプリを使った活動をする中で、考えたり話し合ったりすることができるよう考えてくれました。また、アプリを独立したゲームとして操作するのでなく、アプリを操作することを一部とした授業を考えてくれました。Aチームは、いじめか否かが判然としない事例を取り上げて子どもたちがじっくり考えることを促していました。Bチームは、1回目の授業であえて未完成(に見える)ゲームアプリを提示し、どのようにポイントを付けたらよいのかを子どもたちに考えてもらうという授業を行いました。詳しくは、記事をご覧ください。

 

教員養成教育は、学校現場で行われていることの後追いばかりになりがちです。もちろん、学校現場で行われていることに追いつけるよう学ぶことは重要です。しかし、これまで学校現場で行われていないような取り組みを企業の協力を得て企画し、実施するようなことがなければ、次代の学校教育を担う人材を育てる上では不十分ではないでしょうか。そして、大学の附属学校の協力を得ることで、そうした大胆な試みを実際に学校現場で実践することも可能になります。

 

大学と学校と企業(あるいはNPOや行政)が関わる中心に教員養成学部の学生がいて、学生たちが多様な方々の協力を得て新しい取り組みに挑戦する。そんな教員養成教育をこれからも進めていきたいと考えています。