藤川大祐 授業づくりと教育研究のページ

藤川大祐のブログです。千葉大学教育学部教授(教育方法学、授業実践開発)。プロフィールは「このブログについて」をご覧ください。

乃木坂46の11年目とヴァルネラビリティ

【以下の文章は、3月2日に書いて3月4日朝に投稿予定っだったものです。3月3日に乃木坂46公式サイトにて中西アルノさんの活動自粛が発表されて状況が変わりましたが、この文章は変更せずに載せたいと思います。】 今夜は21時からネット番組「乃木坂白熱論争」…

主権者教育は、投票率向上目的であってはならない

このほど、藤川大祐編「多様化時代における主権者教育に関する研究」 (人文公共学府研究プロジェクト報告書第372集)が完成し、インターネットで公開となりました。 ace-npo.org 私たちの研究室では毎年3月に研究室紀要『授業実践開発研究』を発行していま…

ロシアのウクライナ侵攻 理念なき権威主義はどこに向かうのか

ロシアがウクライナに侵攻し、西側諸国が経済制裁等を進めているものの、ウクライナ国内の戦火が広がり、一般人の犠牲者が増えていることが連日報じられています。冷戦後の世界にあって、一つの国が他の国を公然と攻撃し、多くの国から批判されても攻撃が止…

教員養成制度をいじるのでなく、新任教員の無理ゲーを変えることを

文部科学省が、教育実習を学校体験活動に転換することの検討を始めたことが報じられています。 www.kyobun.co.jp 文部科学省はこれまでも繰り返し、教員の資質向上を議論しており、教職課程の単位を増やしたり、「コア・かリュキュラム」なるものを定めて教…

大学・学校・企業連携による「メディアリテラシー教育演習」で次代を担う教員を育てる

私が千葉大学教育学部で担当している授業「メディアリテラシー教育演習」では、毎年度、グリー株式会社の協力を得て、学生たちがICT技術を活用した新しい授業プログラムを開発し、千葉大学教育学部附属小学校の協力を得て、附属小の学級で実際に授業をすると…

教員の残業代の問題は、公立学校でこそ「是正」が必要だ

文部科学省が国立大学の附属学校で教員に対する残業代の未払いの状況について調査し、24法人で未払いがあったこと等が報じられています。 公立学校の教員には給特法の規定があり、4%の「教職調整額」が支払われる代わりに残業代が支給されないことになってい…

アントレプレナーシップ教育のキーワードがなぜ「ゲーム」なのか

2月23日、ちばアントレプレナーシップ教育コンソーシアム Seedlings of Chiba による「ちばアントレプレナーシップ教育シンポジウム2021~VUCA時代を生き抜く子どもにワタシができること~」が開催され、私もパネリストとして登壇させていただきました。 ミ…

「教員不足」の正体は非正規教員への過剰な依存だ

教育新聞で毎月1回の連載コラムを書かせていただくようになってから、何年になるでしょうか。毎回、編集部からお題をいただき、数日中に原稿を書きます。ともかくお題をいただいたら、自分の知識を総動員しつつ、関連しそうなものを短時間で効率よく調べて、…

取材・講演・委員委嘱・監修等のご依頼について【2023年度改訂版】

藤川に対する各種ご依頼についてお願いしたいことをまとめております。ご依頼をいただく前にご覧いただきますよう、お願いいたします。(2023.3.31修正) 1.報道機関による取材のご依頼については、できる限り対応させていただきます。電子メールにてご連絡…

オンラインゲームでのいじめについて

2月18日初回放送のNHK「いじめをノックアウト!」は、「トラブル続出! オンラインゲーム」がテーマ。番組委員をつとめさせていただいている私は、コラムを書かせていただきました。番組には、関西授業づくり研究会(今はなかなか開催できませんが…)等でお…

「オタク力」への注目で、教育のパラダイムを変えられるか

ここ数年、「オタク力」を研究テーマに掲げています。そもそもは、院生との学習会での議論がきっかけで、数学が苦手な中学生に対して、数学の学力をつけさせようとただ努力するのでは難しく、まずは好きなもので力を発揮してもらい、その好きなものに取り組…

保護者対応・職員室の人間関係を教職実践演習で扱う

教員の多忙さや学校文化の理不尽さが指摘されることが多くなり、教員養成学部の学生にとっては教員という仕事についての不安が広がっています。特に不安が強いのが、保護者との対応と職員室での人間関係のようです。 たしかにこれらは大変ではありますが、民…

【本日締切】起業家教育のまち・千葉市で、シンポジウムを開催します

私たちは、千葉市・千葉大学連携事業として、小中学生対象「西千葉子ども起業塾」を2010年度から継続して開催してきました。当初は、西千葉の「ゆりの木通り」の商店街の協力を得て、途中からは蘇我に工場があるJFEスチールの協力を得て、BtoBビジネスに取り…

GIGAスクール構想1年目の年度末を迎えて

新型コロナウイルス禍でGIGAスクール構想が前倒しされ、昨年度末に全国ほとんどの地区で小中学校に児童生徒一人につき1台の情報端末が配布されました。2021年度はGIGAスクール構想1年前、まもなく年度末を迎えます。新聞記事では端末利用がなかなか進んでい…

ブログを移転しました

2022年2月14日をもって、以前のブログ(ココログ)からこちらのブログに移動しました。 過去の記事は旧ブログに残っている上に、こちらのブログにもインポートしてあります。もしこちらのブログで表示等がおかしければ、過去のブログをお読みください。 今後…

教委・学校の法令違反がある現実を前提に、いじめ防止対策推進法の改正を〜政策提言を行いました〜

2021年10月8日(金)、文部科学省にて、森田志歩さん(特定非営利活動法人Protect Children 〜えいえん乃えがお〜)をはじめとするさまざまな立場の方々とともに、いじめ防止対策推進法改正に向けた政策提言を行う発表の記者会見を行いました。 提言の内容…

藤川大祐『「いじめに対応できる学校」づくり 法令だけではわからない子どもを守る実務ノウハウ』(ぎょうせい)、6月20日発売

来る6月20日、私の新しい著書『「いじめに対応できる学校」づくり 法令だけではわからない子どもを守る実務ノウハウ』(ぎょうせい)が発売となります。3月に出した『教師が知らない「子どものスマホ・SNS」新常識』(教育開発研究所)に続き、今年2冊目の単…

教育再生実行会議第十二次提言は教育に壊滅的な悪影響を与えかねない

首相の私的諮問機関である教育再生実行会議が6月3日、第十二次提言「ポストコロナ期における新たな学びの在り方について」を公表した。日本経済新聞の記事には、私のコメントも掲載されている。 日本経済新聞の記事では、まあまあやんわりと私の見解が述べら…

流山市いじめ対策調査会による調査報告書に関する見解

昨日3月9日、流山市教育委員会が報道機関に公表したいじめ重大事態に関する調査報告書2件を入手し、内容を確認しました。以下、私の見解です。 1.中学校案件の「最終報告書」について 1)この「最終報告書」では、私が会長として取りまとめた中間報告書の…

流山市のいじめ再発防止策公表に関して、報道機関に取材してほしいこと

昨日3月9日、流山市教育委員会が「いじめ重大事態の調査結果を受けた再発防止策」を公表しました。 ▽いじめ重大事態の再発防止策の公表について(流山市ホームページ)https://www.city.nagareyama.chiba.jp/1000008/1009881/1029980.html また、千葉日報の…

日本教育工学会2020年秋季全国大会(オンライン開催)発表資料

9月12日(土)〜13日(日)にオンラインで開催された日本教育工学会2020年秋季全国大会において、ポスター発表とシンポジウム2「オンライン教育本格化時代の情報モラル教育」 での発表をさせていただきました。資料を掲載いたします。 ■ポスター発表 「『オタク…

「ダブルバインド型いじめ」としての「ステメいじめ」や「いじり」(メモ)

最近のネットいじめについて。具体的に誰かの悪口を言うのでなく、誰のことだかわからない形で「むかつく」「調子に乗るな」などと書くものが多く報告されている。典型的には、LINEのステータスメッセージ(ステメ)にこうした言葉が書かれる。 文脈を共有し…

「今ではない」9月入学を導入するとしたらどうなるのか

新型コロナウイルスの影響による休校措置を受けての9月入学という話は、すぐに導入はされないということで、落ち着きつつあります。このまま夏休みの大幅短縮等で対応することには疑念を抱かざるをえませんが、9月入学への移行には国民的合意が不可欠ですか…

9月入学制具体案の修正について

9月入学制について具体案を発信したところ、未就学児への影響について多くのご心配のご意見をいただきました。これを受け、具体案を次のように修正したいと思います。 2020年度末を21年8月とする。21年度より、学校の年度を9月から翌年8月までとする。 20年…

9月入学制の論じ方について

9月入学制について、5月22日の教育新聞「オピニオン」欄「9月入学、デメリットは少ないのではないか」で、具体的な提案を書かせていただきました。この中で、以下の私案を示させていただいています。 2020年度末を21年8月とする。21年度より、学校の年度を9…

休校措置、オンライン学習、9月入学等に関する関係記事一覧

3月以降、新型コロナウイルスの影響による休校措置、オンライン学習、9月入学等の話題で非常に多くの取材を受けています。私が校長をつとめる千葉大学教育学部附属中学校では、できることからやる、教員がボトムアップでアイデアを出して実行するといった考…

千葉大学教育学部授業実践開発研究室(藤川研究室)卒論等発表会を開催します

私たちの研究室の卒論等発表会が、2月2日(日)に開催となります。卒論だけでなく、修論や委託研究生等の発表もあります。皆様のご参加をお待ちしています。 藤川研究室 卒論発表会 2020年2月2日(千葉県) - こくちーずプロ https://www.kokuchpro.com/event/…

ある教育委員会による一方的なスライド削除の通告について

ある教育委員会より、いじめ問題に関する講演の依頼をいただき、資料を事前送付して印刷をお願いしました。その教育委員会とはこれまで継続的にお付き合いがあり、いじめ問題に関してもよい取り組みをしていただけていると感じていました。 しかしながら、資…

SNSでの青少年の犯罪被害に関するコメント

このところ、SNSの犯罪被害について、取材依頼を多くいただいています。同じことを何度もお話ししてもあまり意味がないので、現時点での私の見解をここに記しておきます。 まず、基本的な状況として、2013年を境目に中高生などの若い世代にスマートフォンの…

市議会教育福祉委員会協議会で確認された流山市教委の法令違反かつ不適切ないじめ問題対応

私は10月21日、文部科学省内にて記者会見を行い、流山市教委がいじめ問題について法令違反かつ不適切な対応をしており、被害者が今でも苦痛の中にあるということを公表しました(記者会見の内容等はこちら)。 これまで市教委は私のこうした指摘に対して非を…